レポーター/大塚ルリ子
カフェまるや(直島町本村)店長。埼玉県出身。2003年2月に観光客として訪れた
直島町で、カフェをここで開きたいと思い立ち移住。現在に至る。

2008年3月06日
笑顔咲く、春の直島

1日ごとに陽もほんわりと暖かくなり、枯れていた枝にもたしかな春への鼓動を感じるようになりました。日本各地からお花の便りが届くころ。ここ直島でも、花のいろどりに包まれます。今回は、花に誘われて直島をめぐってみましょう!

まずは、本村の役場前から、宮浦港方面へ進み、大竹伸朗氏の「はいしゃ」を過ぎて、最初の小さな十字路(信号のずっと手前です)を左に折れます。そのまま道を進むと、町民のかたのお散歩コースとしても人気の、直島ダム周辺につながります。

水辺を覗き込むようにしなやかに咲き誇る、みごとな桜を鑑賞できるスポットです(見ごろは例年、4月上旬です)。お時間のゆとりにもよりますが、本村方面から、地中美術館へと続く細いこの道は、徒歩か自転車がお薦めです。鳥の声を聴きながら、あたたかい風を感じて歩くひとときは、心も体もやわらかくしてくれます。山間には、もうひとつの花がのぞきます。直島自慢の島つつじが、鮮やかなピンク色で目を楽しませます。

あたらしく芽吹いた緑に、花の色、うすいブルーの空…。見上げながら歩く人それぞれの心の中に、美しい絵ができあがっていくようですね!ここには、ふしぎな色の桜が咲く…?なんてお話もあるようですね。本当かどうかは「?」ですが、想像力で遊びながら、お楽しみください。

この直島ダムの沿道には、三島喜美代さんによる彫刻作品「もうひとつの再生2005-N」もあり、春の緑を背景に「おっ!」と驚くインパクトを与えてくれます。急な坂を登る途中で出会える作品は、サプライズの贈り物のように嬉しいですね!桜のトンネルをくぐり抜け、地中美術館へ向かう途中には、スタッフの方が心をこめて咲かせた「地中の庭」の花々が迎えてくれます。館内ではもちろん、永遠に咲き続けるようないのちの花、アート作品との出会いが待っています!「花に酔う…」そんなぜいたくな時間を、ぜひお楽しみください。

そのほかにも、直島でのお花の楽しみ方はいろいろ。海岸には、クローバーが咲いています。時間を忘れて、幸せの四つ葉探しはいかがでしょう?直島でみつけたクローバー、最高のお土産になりますね!もしみつからなくても、視界いっぱいを緑にして、無心になれる時間は宝物だと思えます…よね!

また、民家にかこまれた路地や、門の隙間から伺えるお庭には、丹精こめて彩られたかわいいお花たちが微笑んでいます。ことばではなくても「ようこそ!」って迎えてくれる、町民の方の気持ちが伝わってくるようですね。咲き誇る枝の下で、また散歩の道々で、出会えるひとたちの笑顔が、いちばんあたたかいお花のように心に残る、春の直島です。



2007年11月5日
お祭りが繋ぐもの

直島での秋の訪れを教えてくれるのは、日暮れの早さと夜の涼しさ。そして、秋祭りの太鼓の練習の音です。秋祭りの数週間前から、いつもは静かな夜の路地に、息のあった太鼓や掛け声が聴こえだすと、もう季節が変わるのだなと実感できます。

10月、3週にわたり、直島の宮浦・積浦・本村のそれぞれの地区をお祭りの風が渡ります。お祭りの主役は、何といっても子どもたち! 美しい衣装に包まれ、夜の明かりに照らされて、ちょっと神妙な面持ち。まさにお祭りの花です。

男の子はお神輿の台座の上で、太鼓を打ち鳴らし、路地を進みます。時に、うねる荒波に乗る小船のように揺れるお神輿。それでも太鼓のリズムが止むことはありません。はらはらしながらも、小さなヒーローたちの勇敢な姿に心が熱くなります。一緒に練習した仲間との結束、そしてお神輿を担ぐ大人たちへの信頼が伝わってきます。

屋根瓦の海を乗り越えていくように、高く太鼓が鳴らされているとき、路地の上ではまたひとつ、それはそれは美しいお祭りの花が咲いています。屋台と呼ばれる、ぼんぼりの灯りのともる舞台の中で、あでやかに晴れ着をまとった女の子たちが、三味線や小さな太鼓を響かせながら、細い路地を進んでいきます。

暗い路地の中に、ひとつ咲いた華がゆっくりと移動すると、人々がそれに従い、ついていきます。闇に浮かぶ、ちょっと伏し目がちの女の子たち。本当に美しい風景です。男の子たちが荒波の上だとしたら、女の子たちの屋台は、静かな海の深くから見守っている女神様のお城みたい!

もしかしたらみんなのお父さんとお母さんも、こうやって路地で出会ったことがあるのかもしれないよね? 美しく、たくましく成長したお子さんたちの姿に、ご家族のみなさんも胸を熱くすることでしょう。

島民の方が、今は素敵なお姉さんになった娘さんの、お祭りのときのアルバムを、宝物のように見せてくださったことがあります。近所のひとにも宝物に思える1日です。あの子があんなに大きくなったのか…と、目を細めています。

そして、道で応援する同級生のみんなにも、思い出に残るお祭りの夜。少年のときお神輿に乗り、今度は担ぐために都会から戻ってくる青年もおられるそう。お祭りで懐かしい同級生に出会ったら、距離も時間も全部飛んでいきそうですね!

秋祭りのリズムや灯りに包まれて、また人々は繋がりを静かに味わうことができます。旅のみなさんもぜひ来年、おいでくださいね!



2007年7月13日
続々オープン!直島のすてきなカフェ・お宿

青い海の中を、直島へ向かうフェリーのデッキに立てば、なんだか冒険がはじまるようにわくわく。夏の旅はみんなをこどもに変えてくれます。めいっぱい楽しんだ1日、ほっとひと息できる場所の嬉しいこと!直島にはいま、そんなすてきなカフェやお宿がぞくぞくとお目見えしています。

「家プロジェクト」のある本村地区。ここにある「玄米心食 あいすなお」さんは、横浜から移住した店主が民家を手作りで改装し、開いたすてきなお店です。お庭で採れたばかりのお野菜がテーブルに並ぶ、心と体にぜいたくな空間!くるくる回る扇風機のやさしい風も、懐かしさいっぱいです。

同じく本村の「和カフェ ぐぅ」さんは、香川大学の学生が、地域活性を実践しようと経営するカフェ。民家の戸をがらりと開けると、元気いっぱいの学生さんがお出迎え!畳敷きのスペースで、足を伸ばしてゆっくりと寛ぐことができます。2周年を迎える8月には、学園祭のように楽しい企画も進行中とか…??お楽しみに!

また、宮浦港から歩いても数分のところにある「カフェ 清。」さんは、和と洋が、すがすがしく調和しているアットホームなカフェです。かわいいお嬢さんと、ご家族の笑顔。ドアをあけるだけで、旅の不安など消えてしまいそう。おなかも心もいっぱいにしてくれます。直島っこならではのお話も聞けるかも?

また、築50年〜80年の民家を利用したお宿や、若者にうれしいお宿もオープンしています。

本村の「民宿 おやじの海」さんは、かわいいワンちゃん猫ちゃんと遊べるお宿。やさしい女将さんや近所のかたと夕涼みがてら縁側でおしゃべりしていると、まるで家族といるみたい!それを見下ろす、手すりや廊下、窓の飾りなどが昔のくらしを物語ります。

民宿 石井商店」さんでは、ニコニコ優しいお父さんが海で釣ってきたお魚を、お母さんが絶品のお料理にして出してくれます。港町のおもてなしと、ほっとなごめる和の空間が嬉しいですね。

若い旅行者のかた、海外からのお客さまにも大人気なのが宮浦港目の前の「ドミトリーin九龍」さん。お財布にやさしく、快適便利なドミトリーでは、旅人どうしのおしゃべりや情報交換も楽しめます。ここで出会って、以来ずっと友達というお客さまも多いですよ!

ご紹介しきれませんでしたが、ほかにも素敵なお店やお宿がたくさんあります♪ ひとつひとつ明かりがともっていくように、静かにおだやかに、そして賑やかに。本や歴史の中でしか知らない「まちの出来るまで」を、ここ直島で感じることができること。それはとても、貴重でぜいたくな体験と思っています。そして、「まち」とはつまり、「ひと」なのだなと実感しています。家族や友達と乗り越えた苦労、泣き笑い、感動、発見…。どのお店にもある、それぞれのストーリー。直島にお出かけのときにはぜひ、そんなお話との出会いもお楽しみに!

その他のお店情報はこちらからどうぞ! »宿泊 »食事・買いもの



2007年2月1日
出会いの島・直島スタンダード2

直島全体を会場として、2006年10月より開催された「直島スタンダード2展」。点在する作品に導かれるように、ふだんの見学ルートでは訪れる機会のない場所や、かつて生活の営まれた民家の姿に触れることができます。地図を片手に作品を見つけるのも楽しい。この展覧会を「宝探しのようだ」と表現したお客様がいましたが、まさにそのような感覚です。そしてもうひとつ、ひととの出会いが「直島スタンダード2」展の大きな魅力です。

多くの作品の傍には、スタッフさんがついています。「直島スタンダード2」に参加しようと、全国いろいろな場所からやってきたボランティアの方や、細やかに気を配りながら全体をまとめる美術館スタッフの方たちです。案内表示があるだけでなく、ひとが居てくれる。作品について、気取らずちょっとしたお話ができる。見知らぬ道を歩いて辿り着いた場所で出会う笑顔には、とてもほっとします。彼らも「作品を観に来る方とお話するのが楽しい」「お客様それぞれの発見を聞くのが楽しい」と話してくれました。

また、2001年にはじめての「スタンダード展」が開催された時からずっと、若いスタッフさんを支えている町民の方々がいます。時間があれば一緒に作品のそばについてあげたり、風邪ひいてないか〜と気をつかってくれたり…。作品に対しても熱心で、直島の海岸からピンホールカメラで撮影された作品を、住民ならではのフットワークと情報で推理し、「きっとあそこから撮ったんじゃ」と教えてくれたり(笑)。そんな町民の方にお話を聞くと「若い人とお話することで、自分も若くなる気がする」「直島が楽しい、好きだと言って喜んでもらえるのが嬉しい」ということでした。

前回のスタンダード展から5年。その間にうまれた子どもを抱っこして、再び来てくれるお客様や元スタッフさんもおられるそうです。実は今回も、スタンダード2展の会期中に結婚式があったのですよ。何と前回のスタンダード展で出会ったお客様どうしが、5年後の直島で式を挙げたという! 多くの作家やスタッフ、町民の方が力をあわせて作り上げた「直島スタンダード展」には、そんなマジックも存在するのかもしれません。

作品をみつける、ひとと出会う。そして何かを発見している自分自身を発見する。「直島スタンダード2」展で、ゆるやかで刺激的な「宝探し」をお楽しみください。後期は2007年2月24日(土)〜 4月15日(日)に開催されます。前期とは表情を変える作品もあるようです。はじめての方も、何度目かの方も、ぜひ直島にお出かけください!




2006年9月25日
秋の実り・直島スタンダード2

季節の変わりを知らせる何度目かの雨のあと、直島に秋がやってきました。涼しい風の吹く夜には虫の鳴く声と、秋祭りにむけて太鼓を練習する音が路地から聞こえてきて、とても風情があります。

ことし2006年は特別な実りをもたらす秋がやってきます。5年ぶりの大型企画展「直島スタンダード2」がいよいよ、10月7日より開催されます。この時期、直島全体がアートのステージになります。島内に点在する家屋や路地・使われなくなった施設等に美術作品が入りこみ、あらたな対話を生む。ゆっくりと島の中をめぐり、作品やひと、そして自分自身と出会うことのできる、すばらしい機会です。とにかく楽しみ!!

開催の数週間前、キュレイターの秋元氏にお会いできました。準備に多忙を極めている中、わくわくする気持ちを抑えきれないように「アートはおもしろいよ」とにこやかに語っていたのが印象的でした。「直島スタンダード2」展では、直島の歴史や土壌・そしてその中にある人の暮らしが大きな要素になっています。静かに、豊かに続いている日々の営み。

昨年の秋祭りのことを思い出します。ちいさな路地に、明かりがともり、可愛らしく着物を着た女の子たちがしずしずと歩みながら三味線を奏でます。一方で、男の子たちは荒波の中にいるように暴れるお御輿の上で勇壮に太鼓を叩きます。おばあちゃんに抱っこされたちいさな男の子は、太鼓を叩く真似をして嬉しそう。「お兄ちゃんになったら乗れるよ〜」と、まわりの人が声をかけます。路地にあつまる人々のくつろいだ姿を見ながら、わたしは心の中で「ここにある『ふつう』は、とても大事なものなんだ」と噛みしめていました。

町民の人々・美術作品・作家さんを、また旅のお客さまを支え、豊かに実らせる直島という土。「直島スタンダード」のコメづくりプロジェクトでは、この土の上に数十年ぶりに稲田が現われます。海に囲まれた中に残る土だからこそ、「あたりまえであること」の不思議を感じることができます。いまここで生き、歩む喜び。「直島スタンダード2」をご一緒に楽しみましょう!
※2006年秋祭りの日程は、9月30・10月1日(積浦地区)、10月7・8日(宮ノ浦地区)、10月14・15日(本村地区)です。
「NAOSHIMA STANDARD 2」ウェブサイト


2006年7月10日
夏のひかり

どこまでも青い空に入道雲、シャツをふくらませる海からの風…。「島」のイメージにいちばんぴったりくる季節はやはり夏ですね。海岸での水遊びや釣り、自然の中を歩きながらの美術鑑賞やサイクリングと、楽しみはつきません。

この季節の直島では、いろいろな「ひかり」を見ることができます。

強い太陽の反射できらきらと輝く海、家々や木の葉がつくる影で切り絵のように彩られた昼の路地、毎日違う顔の大きな夕焼け。月夜には瀬戸内海に染みこむ静かなひかり…。また夜の浜では、水中で幻想的な青い光を放つ「海ほたる」を見ることもあります。

そして夏の終わりを飾るのは、「火まつり」での、海中から打ち上げる色とりどりの花火!
今年、みなさんの目に映るのはどんな「ひかり」でしょうか。輝きいっぱいの夏の直島にぜひお出かけください!



2006年4月1日
春の港

瀬戸内の海と島々が眠たそうにゆらゆら揺れる、おだやかな春がやってきました。船が港に近づくと、島つつじの鮮やかなピンク色でお化粧した山々の微笑みが見えてきます。港はさざまなひとが訪れ、旅立つ場所。そして春の港は時に、別れの舞台となります。

ある春の日、年度末で島の学校を離れる先生方のお見送り風景に出会いました。いくつもの季節を共に過ごした仲間や先輩が、色とりどりの紙テープの端を持ち、陸の上から「さようなら、ありがとう!がんばってね!」と声をかけます。

ゆっくりと動き出す船。紙テープのもう一方の端と大きな花束を抱え、晴れやかに微笑みながらも、時折こらえきれず涙をぬぐいながら手を振る先生たち。出会えた喜びと、ともに過ごした時間。遠くなっていく直島と、そこにいる大切なひとの姿に胸がいっぱいだったことでしょう。まるで映画をみているような、美しい港の夕暮れでした。

ある島の方にたずねると、こどものころ、先生の名前を呼びながら船を追いかけて…という、切なくてきらきらとした思い出を語ってくれました。それぞれの旅立ちの記憶を、みなさん大切に心にしまっているのでしょうね。うまく言えないけど、とくべつな気持ちがする。何だかわからないけれど、涙が出そうになる。そんな「心が動く」体験は、こどもにとっても、また大人にとっても豊かなものになるでしょう。

春の港が教えてくれたのは―自分にはとどかない、大きな何かによって、季節はめぐり、時に別れがやってくるということ。そしてまた、その見えない力はこの先、想像もできないような出会いを贈ってくれるということ!
今日も直島は、いろんな思いをのせて、ゆりかごのように優しく浮かんでいます。


2005年10月17日
直島のこどもたち

日がだいぶ短くなったように感じるこのごろ。島を渡る潮風も涼しく感じられます。 夕暮れの色が一筆混ざった空を背に、下校中のこどもたちが友達とお話したり、ちょっかい出しあいながら坂をくだってきます。90年代生まれ(!)のちびっこたちなのですが、焼き板の家々に囲まれた路地を制服姿の小学生が歩いていると、懐しい空気が動きだして今がいつなのか分からなくなりそう。

直島のこどもたちにとって、同級生というのはとても特別な存在のようです。一般に言う『同じ学年』『クラスの友達』という言葉とは、何か重さが違う気がします。それもそのはず、自分が誰なのかもよくわからないくらいちいさな時から、中学校を卒業するまでずぅっと一緒に過ごしていくのですから。兄弟のような、家族のような…。いややはり、同級生は同級生。何にも例えられない、特別な仲間なのでしょう。

先日、小学生に自分の叶えたい夢を書いてもらう機会がありました。その時、ある女の子は将来の夢の横に同級生全員の名前を書き、「中学にいっても高校にいってもみんないっしょ、わすれない」と書き添えていました。

「また明日ね」って手を振ってわかれるけど、実は直島という大きな夢の中で一緒に眠っていると言えるのかもしれませんね。大人になって直島を離れても、心の中ではずっと同級生のまま。朝になると、それぞれの町から「おはよう!」って元気に声を掛けあうことができる、そんな気がします。


2005年7月20日
薬箱のことば

直島もいよいよ夏真っ盛り!島への旅にはぴったりのシーズンになりました。路地にもセミの声が聞こえ、挨拶代わりに「暑いな〜」と言って笑う毎日です。海岸では、家族連れや旅のひとがはしゃぎながら波と遊んだり、無心になって貝がらを拾ったりする姿がみられます。

旅行の楽しみのひとつに地元の方とのおしゃべりがあります。その土地の言葉を耳にすると「あ〜ここまで来たんだな」と実感できて嬉しいものですよね。関東出身のわたしも、直島の方が話す言葉を新鮮な思いで聞いています。

よく話される讃岐弁のひとつで、直島だけの言葉ではないですが、島のひととの会話の中で印象的だったのは「なんちゃない」という言葉。標準語に直すと「大したことじゃない」「何でもない」といったところでしょうか。

遠回りして送ってくれた、暑い中畑に出て、手間をかけて育てた野菜を分けていただ いた…そんなとき「ありがとう!」と言うと、みなさん照れくさそうに顔をくしゃく
しゃにして、手をぶんぶん振って「なんちゃない!」と言います。この「なんちゃない」が何だか「肩の力を抜いて、ゆっくり行こうよ」というように 聞こえます。

自分となにかを較べて凹んでしまったり、うまく行かなかったことを思い出してくよ
くよしてしまったり。そんな時、直島の海岸で拾った貝殻と一緒にこの言葉を取り出して眺めてみません か?きっと楽になれるはず。
島のおじちゃんおばちゃんの笑顔と「なんちゃない」という言葉。
こころの薬箱にしまっておきたい、やさし〜い効き目の常備薬です。


2005年6月1日
直島の朝と乳母車

 はじめまして。素顔のなおしまリポーターの大塚と申します。2003年2月に直島に移住して参りました。住んでみて1年余りが過ぎましたが、ますます直島の魅力を実感する毎日です。

一応ちゃんと(?)直島町民なのですが、いまだに「海だ〜!」とはしゃいでしまう埼玉出身者です。そんな、中からと外からの視点が混ざったような、おかしなリポートになるかも知れませんが、「素顔の直島」にふさわしく、ちょっとした発見をリラックスしてお届けいたしますので、どうぞお付き合い宜しくお願い致します。

  直島に来て、結構驚いたのは乳母車を押したおばあちゃんが多いということ。籐かごに車輪のついた、『ジョゼと虎と魚たち』に出てきたあの型です。映画の中の乳母車を見て「今これはちょっと無理あるかな〜」と思ったのですが、ところがどっこい、直島でもいたるところで活躍中の乳母車を見ることができます。底が深くてたっぷり入るし、お買い物に便利なのでしょう。朝、開店時の生協売店や商店の前には、そんな乳母車がたくさん止まっています。

  ご旅行の際、ジュースを買う目的だけでも朝のお店を覗いてみませんか?
  そこにあるのは(驚くほど!)にぎやかな会話、チャーミングないい笑顔。ちびっこが来ればみんなで声をかけ、レジに並ぶと隣のおばあちゃんが「これが好きなんや〜」なんて食べ物の好みについてお話してきたり(笑)。お店とは、その近所に住むひとの共有スペース、コミュニケーションの場だったのだと再確認しました。ころころと可愛らしい音をたてて進む乳母車。その転がる車輪は、のんびり・ゆったりとした直島時計の小さな歯車のひとつかもしれません。